学習院初等科はどんな学校?学校生活から入試情報まで解説!

学習院初等科は、学校法人学習院が開校した、東京都新宿区の私立小学校です。

2017年に創立140周年を迎えた伝統ある学校ながら、最先端の情報教育や豊富な体験学習など、幅広い知識やスキルを身につけられる学校です。

卒業後はほとんどの生徒が学習院中等科、学習院女子中等科に進学しています。

当記事では、そんな学習院初等科の学校生活から入試対策まで、関西圏の私立小学校入試に実績のあるTAMが解説していきます。

学習院初等科の基本情報

■住所
〒160-0011
東京都新宿区若葉1丁目23-1

TEL:03-3355-2171

公式サイト:学習院初等科

交通情報

  • JR総武線「四ツ谷駅」から徒歩5分
  • JR総武線「信濃町駅」から徒歩8分

基本情報

経営学校法人 学習院
共学・男女別共学
生徒数1学年132名 (1クラス33名・4クラス)
制服あり
給食あり

学習院初等科の制服

教育理念・教育方針

学習院は教育目標として「ひろい視野、たくましい創造力、ゆたかな感受性」を持つ優れた人材の育成を掲げ、多くの有為な人材を社会に送り出してきました。

そのなかで、学習院初等科の育てたい子ども像として、以下の5つを掲げています。

  • 真実を見分け、自分の考えを持つ子ども
  • 進んで工夫し、努力する子ども
  • 真心を持って人や物に接する子ども
  • 美しさを感じとる心の豊かな子ども
  • 健康や安全に心がけ、進んで体を鍛える子ども

学習院初等科の授業カリキュラム

科目概要

学習院初等科では、「国語・算数・理科・社会」の主要4教科に加えて、「英語・音楽・体育・図工・道徳・家庭・生活」と多くの副教科が用意されています。

さらに、「さくら・図書・情報教育」といった総合的な学習の時間も設けられています。

教育体制

学習院初等科では、どの学年にも学級担任に加えて、専門の教科を指導する専科教員を配置し、5・6年では学級担任が国語・社会・算数の専科として学年全員を指導する「完全専科制」を導入しています。

他にも、学級相互の徹底した情報交換による公平な指導や、同じ指導計画と進度での学習展開、学級担任に加え学年付き教員の配置を行っています。

自分の担当する学級だけではなく学年のお子さん全員を把握した指導を目指している点が魅力です。

さくら

「さくら」とは、日本の伝統文化や季節に触れることで感性を磨き、各教科の学習を発展的にサポートすることを目標とする授業です。

総合的な学習の一環として週1時間さまざまな内容の授業を行っています。

さくらの授業では、日本の文化に関わることをテーマにしたり、複数の教科の学習を組み合わせたり、多クラスや多学年と交流したりしながら、いろいろな見方や考え方に触れていきます。

以下は授業の内容例です。

  • 日本の古典に触れる
  • 日々の体験や自然の中で感動したことを俳句で表現する
  • 七夕、お正月など季節の行事について、体験したり調べたりする
  • 茶道の家元のご指導を受け、挨拶、食事の仕方、日本人の心遣い等を学ぶ
  • 国際交流を通して、改めて日本文化や日本人について学ぶ

図書

図書の授業では、児童の主体的で意欲的な学習活動や読書活動を充実させることをねらいとし、週1時間、幅広い分野の本に触れ、自分の知識や考えを深める読書指導をしています。

他にも児童の読書の幅を広げるための独自のブックリストを発行したり、図書館独自の多彩な行事を定期的に開催したりと、読書推進活動にとても意欲的な学校です。

情報教育

3・4年生では、週に1時間「情報」という授業を設けており、コンピュータの基本的な操作や活用に慣れ親しませる活動を通して、基礎的な技能や考え方を習得させるようにしています。
5・6年生では、さらに「総合的な学習」の一環として位置付け、他の教科や特別活動などと連携してコンピュータを活用することに主眼を置いています。

複数の専任教員が指導にあたり、児童の成長段階に沿った独自のカリキュラムを導入している点が特徴です。

最終的にはプログラミングを通して論理的思考力を身につけたり、コンピュータを使って自分の考えを表現・発表できるようにすることが目標とされています。

学習院初等科の学校生活

クラブ活動・委員会活動

5・6年生になるとクラブ活動、委員会活動を行い、学年を超えたたてわりならではの学びを行います。

所属できるクラブ・委員会はたくさんあり、お子さんの興味に合わせて選択できますね。

特別クラブ

学習院初等科では、クラブ活動とは別に「特別クラブ」が設置されており、剣道部、管弦楽部、合唱部の3つがあります。

3つとも昔からの伝統があり、4年生以上であれば任意で参加できます。

剣道部では初等科生〜大学生まで合同で稽古をしたり、管弦楽部では過去に台湾の学校との音楽交流会が開かれたりなど、活動を通して日々の学習だけでは得られない貴重な体験ができる点が魅力です。

学習院初等科の年間行事

1学期

  • 入学式
  • 写生会
  • 1年生を迎える会
  • 遠足
  • 芸術鑑賞会
  • 水泳学習

2学期

  • 運動会
  • どんぐり拾い
  • 初等科祭

3学期

  • 6年生を送る会

学習院初等科の進学情報

進学先について

ほぼ100%の児童が学習院中等科・学習院女子中等科に内部進学しています。

また、中等科の卒業生のほとんどが推薦で高等科へ、女子中等科の卒業生のほとんどが女子高等科へと進学します。

高等科・女子高等科の卒業生の約6割が推薦で学習院大学へ進学します。他大学への合格実績としては、東京大学、京都大学、慶應義塾大学などの難関国公立・私立大も含まれており、合格実績も十分です。

学習院初等科の学費

初年度にかかる学費は約1,536,000円で、内訳は以下の通りです。

  • 検定料 30,000円
  • 入学金 300,000円
  • 授業料 754,000円
  • 維持費 302,000円
  • その他の費用 約180,000円


学習院初等科の入試を徹底対策!

ここからは、学習院初等科の入試情報について解説していきます。

実際に過去問題集を確認しての気づきや要点をまとめていますので、学習院初等科の入試を検討している方はぜひご覧ください。

また、学習院初等科の入試科目の概要は、募集要項で確認できます。
公式サイトにてチェックしてみてください。

学習院初等科

学習院初等科の入試情報

入試日程

学習院初等科の入学試験は、例年11月上旬に行われます。

2024年度入学試験の日程は以下の通りです。

出願期間9/19(火)9:00 ~ 9/25(月)16:00
試験日令和5年11月1日(水)~11月5日(日)のうち1日
試験かんたんな考査、保護者面接
合格発表令和5年11月7日(火)
・Web発表  9:00~10:00
・合格者番号掲示による発表(初等科)10:00~12:00
入学手続き令和5年11月9日(木) 9:00~11:00 13:00~15:00

定員・倍率

学習院初等科の定員は男女各約40名合計約80名で、倍率は例年9〜10倍程度と非常に高くなっています。

2023年度入学試験の結果は以下の通りです。

合格者志願者数倍率
約80名約780名約9.8

入試の概要について

学習院初等科の入学試験は、父母面接・集団テスト・個別テストに分かれています。

①父母面接

学習院では、三者面接ではなく父母面接が行われます。
所要時間は約7分間と短く、2問程度しか質問されません。

「学習院に期待することは何か」が1番大事な質問として問われるでしょう。それは学習院の志望理由にもつながっているからです。

また、もう1つの大事な観点は、子育てに関する質問です。

成長してうれしいと思ったこと、子育てで難しいと思うこと、お休みの日の過ごし方など、どちらかというと父親の子育て参加を重視しているようにも思えます。
日頃から子供と接する機会をたくさん持つことが求められているのでしょう。

以下に母親・父親別の質問例を載せていますので、参考にしながら対策をしておきましょう。

【質問例】
<母親>
・学習院に期待することはなんですか。
・子育てでご自身が変わったことはなんですか。
・お子様がお友達との関係を構築するためにどのような言葉がけをしていますか。
・しつけで大切にしていることはなんですか。
・お子様の好きな絵本はなんですか。
・お子様がしているお手伝いはなんですか。
・お子様の興味をどのように伸ばしていきたいと思いますか。
・お子様に誇れることはなんですか。

<父親>
・学習院を選んだ理由はなんですか。
・子育てで楽しいと感じることはなんですか。
・幼稚園(保育園)での出来事でお子様から聞いたエピソードを教えてください。
・お子様が今大切にしていることはなんですか。
・仕事を通して得たことで、お子様に伝えたいことはなんですか。
・父親としてお子様とどう関わっていますか。
・父親の役割についてお聞かせください。

②集団テスト

集団テストでは、「手先の巧緻性」「運動」「行動観察」が課されます。

「運動」の課題は、新型コロナウイルス感染症の以後も、以前と変わらず感染症拡大防止対策をとった上で毎年行われています。特に身体を使ったジャンケンの課題がとても多く、2022年度は、グー・チョキ・パーのポーズを覚えて先生が先に出したジャンケンに対して勝ち負けの出すべきポーズを考えて行う内容でした。

また「運動」の課題では先生の指示通りに動く課題も頻出で、先生の指示通りに動けるかという観点のほか、先生の話を落ち着いてしっかり聞けるかといった姿勢も評価に入ります。

「行動観察」では、学習院では「〇〇運び」が代表的な課題の一つで、これまで「おやつ運び」「荷物運び」など度々出題されてきました。

以前は4人ほどのグループで風呂敷のような布の上に運ぶものを乗せて、全員で布を持ち、足並み揃えて協力しながらゴールまで運ぶ課題でした。

しかしコロナ禍を経て、2022年度ではグループではなく1人でお手玉をゴールまで運ぶというスタイルに変わりました。

いずれにせよ、指示を正しく聞けるかや、主体的に動けるかが見られています。
それらの背景には「進んで工夫し努力する子ども」を目指す教育理念を感じ取ることができます。

③個別テスト

個別テストは、ペーパーテストがなく、口頭でのテストになります。

出題内容は「記憶」「話の内容理解」「口頭試問」の科目がここ5〜6年で頻出です。

<記憶 出題例>
1. スクリーンに映し出された一枚の絵(カラー)を見て覚える(先生が1つずつ棒で刺して「ここには〇〇がいす」と説明してくれる)
2. スクリーンの絵が消えた後、手元のペーパーを開き、先生の指示に従って問題に答える

「記憶」はこれまでほぼ毎年出題されています。
内容は、一場面、並び順、色、方眼上の位置、具体物、絵の中に出てきたものなど様々ですが、22年度に出題されたような「位置の記憶」は頻出課題の一つです。

「位置の記憶」は、上、真ん中、下の3段を上から順に覚えるなど、覚え方がポイントになります。
「記憶」の問題は他にも多くの学校で出題されているので、他校の過去問も併せてたくさんのパターンに慣れておくとよいでしょう。

<話の内容理解 出題例>
ウサギさんやワニさんなど、計4匹の動物が協力し合った料理をするというお話を聞いて、以下の課題に取り組みます。
1. ウサギさんが使った道具を指で差す
2. もしあなたがウサギさんだったらワニさんに何というか話をする

「話の内容理解」では、ある程度の長さの話を聞いて2問程度の問題に答えます。

注意深く話を聞くのと同時に、「あなただったらどうするか」「なぜ〇〇するのか」など、自分の考えをまとめて言葉で明確に言い表す力が強く求められています。

単に話を記憶するだけでなく、考える要素がある問題が必ず含まれていることに注意しましょう。

<口頭試問 出題例>
実際に制作はせず、工作見本のうちの1つと並べられた材料と道具を見て、以下の課題に取り組みます。
1. 示された工作にどんな材料や道具が使われているかを3つ選んでトレーに入れる
2. 工作に飾りをつける場合、どんな飾りをつけたいか、材料や道具を選んで話をする

「口頭試問」では、先生が作り方を説明するのではなく映像を見て制作する、あるいは見本を見て自分で作り方を考えるといういずれかの方法がほとんどです。

出来上がった作品を見て逆をたどっていきながら材料や道具を自分で考えるというのは、お子さんの主体性の度合いを見ていると想定されます。

普段から物理的にものを触って制作する経験を増やしていくのとともに、感じたことを感じたままに自由に話す機会を積極的に設けるようにしましょう。

まとめ

学習院初等科は、長い歴史を持ちながら、最先端の情報教育や豊富な体験学習など、幅広い知識やスキルを身につけられる学校です。

小学校から大学にかけての一貫連携教育が盛んで、卒業生のほとんどは系列校へと内部進学します。

入学試験は、ペーパーテストがなく、父母面接・集団テスト・個別テストが課されます。

難易度自体はことさらに高いわけではありませんが、志願者数が多く倍率が非常に高いため、入念な対策が必要になります。

家庭内での対策に不安がある方は、合格実績のある私立小学校専門塾などで対策していきましょう。

苦手に合わせて1単元から対策できますので、ぜひご家庭での対策にご利用ください。

この記事を書いた人

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たむろぐ編集部

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