成蹊小学校は学校法人成蹊学園が開校した東京都武蔵野市の私立小学校です。
2015年に創立100周年を迎えた伝統ある学校でありながら、ICT教育や国際教育、体験的学習など、最先端の教育を提供しています。
学校法人成蹊学園は独自の一貫連携教育を行っており、ほとんどの生徒が成蹊中学校・高等学校へと内部進学しています。
当記事では、そんな成蹊小学校の学校生活や入試方法について、関西圏の私立小学校入試に実績のあるTAMが解説していきます。
成蹊小学校の基本情報
■住所
〒180-8633
東京都武蔵野市吉祥寺北町三丁目3番1号
TEL:0422-37-3839
公式サイト:成蹊小学校
交通情報
- 「吉祥寺」駅から関東バスで5分 「成蹊学園前」下車
- 「吉祥寺」駅から徒歩15分
- 「武蔵関」駅から徒歩20分
基本情報
経営 | 学校法人 成蹊学園 |
共学・男女別 | 共学 |
生徒数 | 1学年約120人 |
制服 | あり |
給食 | あり |
教育理念・教育方針
成蹊小学校は「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」「師弟の心の共鳴」「自奮自発の精神の涵養」の5つの柱を教育理念としています。
それらの柱を根底に「ゆとりある学校生活の中で個性的な子どもを育てる」という教育目標を掲げています。成蹊小学校の考える「個性的な子ども」像とは「自立・連帯・創造」の力を備えた生徒です。
さらに、学習面においては低・中・高学年の学習内容や領域の違いに合わせて、それぞれ教育目標を掲げています。
1・2年生「好奇心の芽をぐんぐん伸ばす」
3・4年生「学びが深まり世界が広がる」
5・6年生「自ら考え行動する力をつける」
また、学習内容が高度になる高学年では、教科担任制をとっています。
教員一人ひとりが専門分野ついて深く研究している強みを活かした教育制度で、これによりすべての科目で質の高い授業を実現しています。
成蹊小学校の授業カリキュラム
科目概要
成蹊小学校では、国語・算数・理科・社会の主要4教科に加え、英語・音楽・体育・美術・こみちの副教科が用意されています。
・こみち
成蹊小学校の特徴ともいえるのが「こみち」という科目です。
「総合教育」として、全ての学年が取り組んでいます。
「五感を使った直接的な体験を大切にする」を目標に、作物の栽培やIT機器を駆使した調べ学習等を行います。
栽培では、「種を撒き、育て、収穫し、調理し、食べる」ところまで全て行います。
自分たちで育てたものを自分で調理し、食べることで食育の文化を体験し、より身近なものとして捉えられるのです。
6年生では一年間かけて各自でテーマを設定し、「卒業研究」を行います。
プレゼン資料からパワーポイントの作成まですべて一人で行い、研究結果を発表する過程で、自主性や思考力、IT機器の活用法など様々な力を養います。
ICT教育
パソコンコーナーでは、一人一台のPCを使用できます。
自主的に調べ学習を進め、データや調べたことを効率良く共有・発表できる環境が整備されています。
最先端のIT機器を活用できるのは、今後の社会を担っていくお子さんにとってとても重要な環境です。
国際理解教育
成蹊小学校では、1年生から英語の授業があり、ネイティブの先生による授業が行われます。
英語力の向上はもちろん、国際理解というテーマで他国の生活や文化に触れ、興味・関心を深めます。
5年生の3月と6年生の8月には「オーストラリア体験学習」を実施しています。
現地校での授業参加やホームステイを通じて、異国での生活や文化を実際に体験できるプログラムとなっています。
また、4年生から入学となる「国際学級」があり、帰国生の受け入れも充実しています。
入学後は、オリエンテーションにて学校生活や授業の個別指導をした後、一般学級に混入します。
成蹊小学校の学校生活
クラブ活動
高学年では全生徒がいずれかのクラブに所属し、自主性や社会性を養います。
運動部・文化部ともにたくさんのクラブがあり、自分で好きなものを選んで参加できます。
また、夏にはクラブ合宿教室があり、成蹊高校や成蹊大学の学生もコーチとして参加するので、技能の向上はもちろん、卒業生と関われる貴重な機会になります。
桃の会
委員会活動にあたるのが「桃の会」です。
1〜4年生では「学級桃の会」として、クラス内の話し合いや係活動に取り組みます。
5〜6年生では「学校桃の会」として、4年生までの経験を活かして、飼育・給食・放送など様々な面で学校生活の向上や問題解決に取り組んでいきます。
成蹊小学校の年間行事
夏の学校
「夏の学校」は、親元を離れて生徒同士で共同生活を行う宿泊行事です。
「自立」の精神を磨くのはもちろん、共同生活を通して協調性や社会性など「連帯」の精神、登山や遠泳などを通して忍耐力など様々な要素を養う機会となります。
1年生:箱根2泊3日
2年生:箱根3泊4日
3年生:箱根4泊5日
4年生:南房総白浜4泊5日
5年生:志賀高原5泊6日
6年生:南房総岩井5泊6日
1〜3年生の箱根は、成蹊学園箱根寮に宿泊します。
豊かな緑とキツネやイノシシなどの野生動物たちに囲まれた大自然の中で、生徒たちはたくさんの感動と思い出を得ることになります。
成蹊小学校の進学情報
進学先について
学校法人成蹊学園は「個性を育む一貫連携教育」を掲げ、小・中・高・大の教育を同一キャンパスで提供しています。
この一貫連携教育を重視して、希望者のほとんどが内部進学できます。
公式HPによると、約90%の卒業生が成蹊中学校へ内部進学しているそうです。
成蹊小学校の学費
初年度にかかる学費は約1,450,000円で内訳は以下の通りです。
- 受験料 30,000円
- 入学金 300,000円
- 授業料 730,000円
- 施設費 240,000円
- その他の費用 約150,000円
成蹊小学校の入試を徹底対策!
ここからは、成蹊小学校の入試情報について解説していきます。
実際に過去問題集を確認しての気づきや要点をまとめていますので、成蹊小学校の入試を検討している方はぜひご覧ください。
また、成蹊小学校の入試科目の概要は、募集要項で確認できます。
公式サイトにてチェックしてみてください。
成蹊小学校の入試情報
入試日程
成蹊小学校の入学試験は、例年11月上旬に行われます。
2024年度入学試験の日程は以下の通りです。
出願登録 | 9/28(木)10:00 ~ 10/1(日)15:00 |
入学選考 | 男子:11/1(水)午前 と 11/2(木)~11/4(土)から1日 女子:11/1(水)午後 と 11/2(木)~11/4(土)から1日 |
合格発表 | 11/5(日)16:00 |
納付金支払期限 | 11/6(月)23:59 |
定員・倍率
成蹊小学校の定員は112名で、男女ともに56名ずつです。合格者は男女10名ずつ多くとっているようです。
倍率は例年男女ともに5〜6倍となっています。
2023年度入学試験の結果は以下の通りです。
合格者 | 志願者数 | 倍率 | |
男子 | 66名 | 377名 | 5.7 |
女子 | 66名 | 345名 | 5.2 |
入試の概要について
成蹊小学校の入試は2日間に分けて行われます。
1日目にはペーパーテストと運動テストが、2日目には集団テストと保護者面接が行われます。
1日目
①ペーパーテスト
1グループ8名で試験官が2名という体制で行われます。
所要時間は約30分ですが問題数が少なく、一問の占める割合がとても大きいので、確実に得点できるようにしましょう。
出題分野は主に「話の内容理解・記憶」「図形」「推理・思考」の3つです。
また、男女で別々の問題が出題されるといった特徴もあります。
男子には「話の内容理解・記憶」、女子には「推理・思考」と男女別でそれぞれで差がつきやすい問題を選んでいる印象です。
<話の内容理解・記憶>
10年度分の過去問を確認したところほぼ毎年出題されています。
お話がかなり長く、情報量も多いので、他校と比較しても難易度は高いです。また、設問もお話で登場した順ではないこともあります。
設問は内容から、登場人物の様子や季節など細かい部分まで幅広いので、細部まで抜け漏れがなくしっかりと理解できているかが問われています。
過去問演習はもちろん、日頃からお話を聞く際には状況を想像しながら聞く習慣をつけておきましょう。
<図形>
問題のパターンが様々で、扱われる図形も平面から立体まで様々です。
中でも頻出の「図形構成」は、図形の向きや組み合わせを変えたときの様子をイメージできるまで理解を深めておきましょう。
また、立体図形はとくに苦手なお子さんが多いので、集中的に対策しておきましょう。
なかなかイメージしづらい場合は紙を切ったり作ったりして実際に試してみるのもオススメです。
以下に問題例を載せてあるので、これらも参考に過去問と併せて対策を行いましょう。
1. 【図形構成】お題を図形を作るのに使う/使わない図形を選ぶ
2. 【図形構成】お題の図形を組み合わせたり重ねたりして作れる図形を選ぶ
3. 【同図形発見】お題と同じ絵を選ぶ
4. 【四方からの観察】お題の図形をある方向から見たときの見え方を選ぶ
5. 【図形系列】並んだ図形から規則性を見つけて、空所に当てはまる図形を選ぶ
<推理・思考>
【問題例】
1. 2つのおもりに関する条件が与えられ、つりあうシーソーを選ぶ
2. お題のサイコロの目を足した数になるように、果物がいくつかずつ入ったセットの組み合わせを選ぶ
「推理・思考」では足し算・引き算など「数」を組み合わせた問題が頻出です。
ポイントは、そのまま足し算や引き算を行おうとしないことです。
1. を例にとってみましょう。〇のおもり2つと▲のおもり1つがつりあうとします。
このとき、シーソーひとつずつに対して、「〇を2つ消して、反対側の▲を1つ消す」「同じおもり同士は両側で一緒に消す」というルールで線で消していきましょう。
綺麗に両方のおもりを消せたシーソーがつりあうというわけです。
この方法なら、足し算や引き算をしなくても、問題を解くことができます。
数字の概念や足し算・引き算は本来小学校に入ってから習うものなので、計算能力を求めているわけではありません。
問題をどのように解釈し、どのように処理していくかが見られているのです。
他の学校の過去問なども活用しながら、色々な数の問題に慣れておけると安心です。
②運動テスト
1グループ8名、試験官は2名で、所要時間は約25分です。
課題は模倣体操やかえる飛びなど年度によって様々ですが、難易度はそれほど高くありません。
一般的な運動能力があり指示を正しく聞いて正確に行うことができれば、それほど心配しなくても大丈夫です。
何かトラブルが起こったときの態度も見られているので、万が一うまくいかなくても、焦らず落ち着いて状況に対処できるようにしておきましょう。
2日目
③行動観察
行動観察では例年課題工作を行います。
1グループ20名で試験官が3名体制で所要時間は約50分です。
手順やルールを他の子と相談・話し合いをしながら、完成した作品やゲームを発表したり遊んだりします。
その過程を通してコミュニケーション力や協調性、自主性を見ていて、「自立」や「連帯」を重んじる成蹊小学校の理念が見てとれます。
幼稚園などでお友達と積極的に遊んで、他の子との関わりをたくさん持てるよう、声掛けしてあげましょう。
他にも、箸の持ち方など手先の巧緻性や生活習慣を見る課題も出題されるので、日常生活から多くのことをお子さん自身にさせて、間違った方法は矯正しておくと安心でしょう。
④保護者面接
約10分程度の保護者面接で、質問は父母で交互に行われます。
子育てや教育への考え方、生活教育などに関する質問が多いです。
また、保護者のみの面接なので、お子さんの性格や興味などについての質問もあります。
父母間で回答がずれていると、評価を大きく下げているので、日頃から教育方針やルールなどについて話し合い、意識を合わせておくようにしましょう。
【質問例】
・成蹊小学校の教育で良いと思うところはどこですか。
・英語教育についてはどのように考えていますか。
・お子さんに携帯電話は持たせていますか。
・お友達に怪我をさせてしまったときはどうしますか。
・お子さんはどのような性格ですか。
・最近お子さんの成長を感じたエピソードはありますか。
・お子さんとはどのようなことをして遊びますか。
・お子さんにはどのようなお手伝いをさせていますか。
まとめ
成蹊小学校は、長い歴史を持ちながら、ICT教育や国際教育、体験的学習など最先端の教育を提供している私立小学校です。
小・中・高・大の一貫連携教育を重視しており、内部進学により成蹊中学校へと進学できます。
学校行事も豊富で、親元を離れて生徒同士で共同生活を行う「夏の学校」、現地での授業参加やホームステイができる「オーストラリア体験学習」など、魅力的なプログラムがたくさんあります。
入学試験は、ペーパーテスト・運動テスト・行動観察・保護者面接が課せられます。
とくにペーパーテストの難易度が高く、一問あたりの占める割合も大きいので、入念な対策が必要です。
家庭内での対策に不安がある方は、合格実績のある私立小学校専門塾などで対策していきましょう。
苦手に合わせて1単元から対策できますので、ぜひご家庭での対策にご利用ください。