全国に数多くある小学校。
学校によって教育制度はさまざまで、中でも最近注目されているのが「小中一貫校」制度です。
聞いたことはあるけれど、どんなものなのか詳しくは知らない…という保護者の方も多いと思います。
本記事では、小中一貫校制度とはどのようなものか、どのようなメリットがあるのかを関西エリアの小学校受験で実績のあるTAMが解説していきます。
ぜひ小学校選びの参考にしてください。
小中一貫校とは
小中一貫校とは、小学校の6年と中学校の3年を合わせた9年間の教育を一貫して行う学校を指します。学校によっては「6・3年」という区分に限らず、その教育方針によって「5・4年」や「4・3・2年」といった新しい区切り方を取り入れ、児童生徒のより健全な教育に取り組んでいます。
このような学校が持つ特色は、学習面における利点だけではありません。
小学校と中学校の垣根を越えたさまざまな活動や行事があり、それによるメリットも豊富です。また、中学校へ進学する際の不安の解消といった効果が期待されており、その需要が高まってきています。
小中一貫校の施設については以下のような分類があります。
「一体型」・・・小中一貫して、同じ建物や施設を共有している
「併設型」・・・建物や施設の敷地が隣接している
「分離型」・・・従来の小・中学校とと同じように、建物や施設が離れている
施設のスタイルによっては異なる点もありますが、共通して見られる小中一貫校のメリットについてご紹介します。
小中一貫校の4つのメリット
①学力向上
小中一貫校の学習には、以下のようなメリットがあります。
- 一貫した独自のカリキュラムを導入できる
- 教科担任制を早く導入できる
- 長期間、同じ児童生徒を教育することができる
- 小学校の学習内容を、中学校で補うことができる
従来の小・中学校は、異なる小学校から集まった生徒たちが同じ教育を受けることになります。そのため、小学校における学習力の違いや、生徒たちの学力の差異などに配慮がありません。結果として、中学校へ進学した段階で学力に格差が生じている場合が多いです。
近年では教科書改訂が行われ、英語を筆頭にそのカリキュラムが難化しています。中学校の学習が難しくなったために、小学校から起こっていた格差がさらに悪化してしまい、生徒たちは勉強についていけなくなることがしばしばあります。
また、小学校と中学校がどれほど連携しても、中学校の先生にとっては「新しい生徒」です。新しい環境で、また1から生徒たちの個性など様子を見ながら教育をしていかなければなりません。
これは生徒たちにとっても同じことが言えます。異なる小学校から集まった見知らぬ同級生たちの中で、不安を感じることもあるでしょう。新しい環境で人間関係を構築していくことは、先生にとっても生徒にとっても大きな課題です。
小中一貫の教育では、小学校から中学校への進級における連携がスムーズであり、学習面や環境においてのギャップに困る心配はありません。学力の差異なども把握できるため、進級後もフォローすることができます。さらに学校側は、長期間にわたって同じ児童生徒を見ることができるため、一人ひとりの個性を理解し、伸ばす教育を行うことができます。
その他にも、小学校・中学校の分け隔てがない分、授業科目の学習をスムーズに進めることができるメリットもあります。それにより、学習時間に余裕ができ、結果としてお子さんたちの興味や探求心を掻き立てられるような学習の時間も持つことができます。
②中1ギャップの解消
小学校から中学校への進学における、「中1ギャップ」と呼ばれる課題があります。
- 小学校と比べ、学習の難易度が大きく上がる
- 近隣の小学校から生徒が集まるため、人間関係に混乱しやすい
- 先生や学校の環境が大きく変わり、生徒たちは不安を感じやすい
- 上記の不安などから、不登校やいじめが発生しやすい
このように、中学校への進学における生徒たちの課題は大きく、不登校やいじめの原因にもなるなど大きな問題となっています。
勉強についていけなくなるといった学習面の問題だけでなく、新しい先生や同級生と関わっていくことなど、進学は生徒たちにとってストレスになることもあります。
新しい環境で心機一転し、頑張っていく、というのは誰にでもできることではないのです。
小中一貫校では、このような課題を解消することも可能です。
- 普段から上の学年や下の学年との交流が多い
- 環境が大きく変化することがない
- 進級における学習のフォローが出来る
- 幅広い年齢層と交流するため、先輩・後輩としての意識を持つことができる
- 環境に慣れながら進級できるため、小中のギャップを感じにくい
環境の大きな変化がないことは生徒たちにとって、特に安心できるポイントだと言えます。
中1ギャップという深刻な問題を軽減できるだけでなく、学習面でも長期的なサポートをしてもらえるため、苦手のフォローなども期待できます。
中学生になっても引き続き、信頼できる先生に見てもらえることは保護者にとってもメリットを感じられるでしょう。
③幅広い年齢層とのコミュニケーション
小1~中3という、広い年齢層が同じ環境で学ぶため、より広い視野でのコミュニケーションが期待できます。様々な学年の生徒と交流することで、小学生たちの「中学生」へのあこがれや尊敬の気持ち、あるいは中学生の下級生への思いやりなどが育まれます。学校という閉鎖的な空間で、このような交流ができることは小中一貫校の大きなメリットとも言えるでしょう。
学校行事なども、小・中学校の合同で開催されることが多いので、その機会は豊富です。特に「施設一体型」や「併設型」であれば、上級生や下級生と関わる機会もさらに多くなるでしょう。
また、小中一貫校の教育では、伝えたいことを自分の言葉で伝えられるようにするため、先生(つまり聞く側)の姿勢も大切とされることが多いです。
聞く側、話す側の互いの関係性を築き、自分が自分が!と前に出るのではなく、互いを思いやるよう接していくことで広い心を育てていけることも魅力といえるでしょう。
中学受験が無いからこそ得られる環境が整っています。
④校舎や設備の充実
少子化による統廃合などから、土地や予算を小・中学校で合わせることで開校される小中一貫校もあります。そのような場合には、建物や設備をさらに充実させることができるでしょう。
また、小学校高学年で行われる部活動なども、中学生と同じ設備を使用できるため、より本格的な指導を受けることができます。上級生と一緒に活動する機会でもあるため、あこがれなどからモチベーションにも繋がるでしょう。また、上級生も下級生に指導をすることで、思いやりや先輩としての責任などを学ぶことができます。
まとめ
小中一貫校には、従来の小学校・中学校とは異なるメリットがあります。
- 学習力の向上・・・9年間の長期カリキュラムでしっかりサポート
- 中1ギャップの解消・・・従来の小・中学校の深刻な課題の解決
- 幅広い年齢層とのコミュニケーション・・・思いやりや責任感が生まれる
- 校舎や設備の充実・・・よりよい学習環境
このように小中一貫校にはメリットが多く、従来の小・中学校が抱える課題も解消できる点が多いため、その需要は高まってきています。少子化による統廃合から、小中一貫の施設もは今後も増えていくでしょう。お子さんの将来について考えたとき、小中一貫校も選択肢の一つとして意識しておきたいですね。
小中一貫校では学校ごとに教育方針や校風が大きく異なることが多いです。
9年間という長い期間通うことになるため、お子さんに合う学校を選ぶためには情報収集は必須です。それぞれの学校の特色など、期待したいメリットを意識して調べていかなければなりません。
また、私立の小中一貫校に入学するためには、受験に合格する必要があります。
志望する学校の試験傾向などによって、どのように対策をしていくかは保護者やお子さんにとって大きな課題です。
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