成城学園初等学校は、東京都世田谷区にある幼稚園から大学までの一貫教育を行う学校です。
都心からアクセスしやすい場所にありながら、校内には自然が溢れています。都会にいながら自然に囲まれた空間でのびのびと学ぶことができるのが魅力です。
この学校は1917年に設立され、100年以上の歴史があります。
小中高一貫校のため、ほとんどの生徒がそのまま中学・高校へと進学していきます。
高校からは、そのまま成城大学に進学する生徒もいれば、他大学に進学する生徒もいるようです。
また駅から徒歩で5分以内で通学可能であるため、立地、アクセスともに非常に良いと言えるでしょう。
当記事では、そんな成城学園初等学校の学校生活から入試対策まで、私立小学校入試に実績のあるTAMが解説していきます。
成城学園初等学校の基本情報
■住所
東京都世田谷区祖師谷 3-52-38
TEL:03-3482-1092
公式サイト:成城学園初等学校
交通情報
・小田急小田原線「成城学園前」駅下車徒歩4分
基本情報
経営 | 学校法人 成城学園 |
共学・男女別 | 共学 |
生徒数 | 1学年約108名 |
制服 | なし |
給食 | なし |
制服
成城学園初等学校では、制服が制定されていません。
生徒たちは普段は活動しやすい服装で登校し、式典の際などはTPOに応じた服装を着用することが求められているようです。
教育理念・教育方針
成城学園初等学校には『希望理想』と呼ばれる教育理念があります。
これは「個性尊重の教育」「自然と親しむ教育」「心情の教育」「科学的研究を基とする教育」の4つです。
<個性尊重の教育>
成城学園初等学校では、学校生活を「一人一人の生徒が持つ個性や能力を発見し、それを発揮する機会」と考えています。
国語や数学、芸術などの教科学習では、独自のカリキュラムを用いています。生徒たちはそれぞれの能力に応じ進度を調節できるようです。
生徒たちの個性を伸ばすのは、教科学習だけではありません。生徒たちは、才能を発揮して課外活動にも積極的に取り組んでいます。
<自然と親しむ教育>
校内には樹木が多く、自然の勾配を利用した坂や池もあります。こうした緑と土に囲まれた空間の中で、生徒たちはのびのびと学校生活を送れるようです。
安全に十分に配慮した環境の中で、生徒たちは自然と触れ合いながら逞しく育っていきます。四季折々に異なる表情を見せる自然の中で、生徒たちは豊かな感性を育むことができるでしょう。
自然を自らの肌で感じ、自然を敬愛する心を身につけてほしいという願いのもと、遠足や夏の学校などの校外教育の機会も多く設けられています。
<心情の教育>
成城学園初等学校では、生徒たちが健やかな心を育むことも大切にされています。
文学や劇の授業では、登場人物の生き方を通じて自分自身を見つめさせる指導がなされています。芸術の授業では、幼いうちから「本物」に触れられるように、ゲストを呼んだ特別講座なども行われているようです。
生徒たちの成長を支えられるように、教師の育成にも力を入れています。
生徒たちの心を理解し、生徒と一緒に泣いたり笑ったりできる信頼関係を築くため、教師たちも日々努力をしているようです。
<科学的研究を基とする教育>
成城学園初等学校では、創立以来「科学的研究を基礎とした実験学校」という目標を掲げています。このため、遊び・散歩・劇・文学・映像・舞踊などの他校には見られない独自の授業が行われているようです。
また、長年の伝統を重んじながらも、時代に合わせた「情報・環境・国際理解・福祉」などの多角的な視点から新しい教育も行われています。
成城学園初等学校のカリキュラム
成城学園初等学校では基礎基本を定着させ、さらに人間関係を深めていくための教育が大切にされています。
2017年には創立100周年を迎え、「100年プラン」という新たなカリキュラムが成立しました。
新カリキュラムでは、クラス定員を減らし生徒一人ひとりにきめ細かい指導を行っています。また、数学と英語の授業が1年生から行われるようになったようです。
また、成城学園初等学校に特徴的なのが「劇」「遊び」「読書」「散歩」「舞踊」「映像」といった独自の教科指導が行われていることです。さらに、「城の時間」「夏休みのホームステイ」といった課外活動も重視されています。
以下ではそれらを詳しくみていきます。
<劇>
3年生から始まる授業です。「げきのほん」という独自のテキストを使い、生徒たちが人間関係を深め、想像力や鑑賞力を高めることを目指します。
<遊び>
1、2年生で行われる総合教育のための授業です。さまざまな遊びを通じて豊かな経験を身につけ、人に対する思いやりや社会性も育んでいきます。
<読書>
1万5000冊を誇る図書館の蔵書の中から、生徒たちは興味関心や能力に応じて自由に本を選ぶことができます。教科書の文章を読む国語の授業とは違い、子どもお子さんたちが自由に選択できることが特徴です。
生徒たちは読解力や集中力、感性を育めるでしょう。
<散歩>
低学年で行われている教科です。「何をしに行く」という目的を設けず、生徒たちはぶらぶらと散歩します。一人一人の興味や発見が大切にされているようです。
生徒たちは、自然や社会の事物や現象を直接見聞きし、生身の体験を通じて人間性を高めることができます。
<舞踊>
1年生から4年生で行われている教科です。心を解放させ、動くことの楽しさを味わいながら、作品を創作したり互いの作品を鑑賞したりします。
のびのびとした表現活動を通じて、豊かな心や健康な身体づくりを目指し、心身を調和させることが目指されているようです。
<映像>
4年生以上で行われている教科です。
カメラやビデオを使った表現活動を通じ、映像の特性を学びつつ、情報に対するリテラシーを高めることができます。
<城の時間>
「クラスの時間」と「総合活動の時間」からなるようです。
「クラスの時間」では、学級内の係活動や児童委員会などの活動を行います。
「総合活動の時間」では、行事前の練習や校外活動に出かける前の調べ学習や振り返りなどをおこなっているようです。
<夏休みのホームステイ>
夏休みには、国際理解教育の一環としてオーストラリアでのホームステイが実施されます(高学年の希望者のみ)。
この異文化体験をより実り多いものにするため、日常英会話の練習やオーストラリアの文化・自然についての調べ活動などが行われているようです。
成城学園初等学校の学校生活
クラブ活動
生徒たちの興味や関心を生かし、より深く専門性を追求するために課外クラブが設けられています。
活動は、朝の始業前や放課後に行われることが多いようです。外部の専門家が指導にあたることもあります。様々な演奏会に参加したり、校外に出かけて活動することもあるようです。
以下のようなクラブがあります。
合唱部(2012年度NHK全国学校音楽コンクール 全国コンクール金賞受賞) | 4・5・6年 | 月曜日の放課後火・金曜日の朝 |
ブラスバンド部 | 4・5・6年 | 月・金曜日の放課後木曜日の朝 |
ライフセービング部 | 5・6年 | 木曜日の放課後 |
成城学園初等学校の年間行事
<1学期>
4月 入学式
5月 合同体育/方面別集会
6月 音楽の会/クラスデー/総合健康診断
7月 劇の会/夏の学校
8月 オーストラリア・ホームステイの旅(5、6年生希望者)
<2学期>
9月 3年生秋の学校
10月 秋の運動会(幼初合同運動会)/クラスデー
11月 文化祭(劇の会・子ども祭り)/方面別集会
12月 器楽合奏の会
<3学期>
1月 観劇会/ノーチャイムウィーク
2月 スキー合宿(4、5、6年)/クラスデー
3月 劇の会/卒業式
成城学園初等学校の進学情報
成城学園初等学校は小中高一貫の学校であるため、小学校卒業後、生徒のほとんどは中学校へと内部進学していきます。そして中学校卒業後も、ほとんどの生徒が高校に内部進学します。
以下が高校の2023年度の合格実績です。
国公立大学 | 私立大学 | ||
東京大学 | 2名 | 早稲田大学 | 35名 |
東京工業大学 | 1名 | 慶應義塾大学 | 25名 |
一橋大学 | 1名 | 上智大学 | 25名 |
東北大学 | 3名 | 東京理科大学 | 42名 |
名古屋大学 | 1名 | 国際基督教大学 | 1名 |
九州大学 | 2名 | 学習院大学 | 10名 |
東京学芸大学 | 1名 | 明治大学 | 93名 |
東京外国語大学 | 1名 | 青山学院大学 | 17名 |
東京芸術大学 | 1名 | 立教大学 | 32名 |
電気通信大学 | 2名 | 中央大学 | 59名 |
筑波大学 | 2名 | 法政大学 | 71名 |
埼玉大学 | 4名 | 成蹊大学 | 20名 |
千葉大学 | 4名 | 明治学院大学 | 23名 |
東京都立大学 | 1名 | 国学院大学 | 18名 |
防衛大学校 | 2名 | 日本大学 | 91名 |
高校卒業後は生徒の50-70%が成城大学に進学します。30-50%が他大学に進学しますが、難関大学への合格者も多く輩出しているようです。
成城学園初等学校の学費
初年度にかかる費用は1,320,000円で、内訳は以下の通りです。
- 検定料 30,000円
- 入学金 300,000円
- 授業料 730,000円
- 施設設備費 250,000円
- 空調費 10,000円
成城学園初等学校の入試を徹底対策!
ここからは、成城学園初等学校の入試情報について解説していきます。
実際に過去問題集を確認しての気づきや要点をまとめていますので、成城学園初等学校の受験を検討している方はぜひご覧ください。
また、成城学園初等学校の入試の概要は、入試要項で確認できます。
公式サイトにてチェックしてみてください。
▶入試情報
成城学園初等学校の入試情報
入試日程
2024年度入学試験の日程は以下の通りです。
出願期間 | [web出願受付期間]2023年9月11日(月)10:00~10月5日(木)16:00 [書類郵送期間]2023年10月2日(月)~10月5日(木) 【当日消印有効】 |
入学選考 | [面接・考査①] 男子11月7日(火)・女子11月8日(水) [考査②]男子11月9日(木曜)・女子11月10日(金) |
合格発表 | 11月12日(日)8:00 web発表 |
定員・倍率
2023年度の入試結果は以下の通りでした。
募集人数 | 志願者数 | 合格者数 | 倍率 | |
男子 | 約34名 | 211名 | 36名 | 5.9 |
女子 | 約34名 | 219名 | 34名 | 6.4 |
男女ともに倍率は6倍程度とかなり高くなっているようです。
入試の概要について
成城学園初等学校の入試には、親子で行う面接とお子さん1人で行う考査があります。以下で詳しい内容について見ていきます。
面接
15分程度で親子面接が行われます。以下が実際に出題された質問例です。
<お子さんに向けて>
・お名前を教えてください。
・お家ではどんなお手伝いをしますか。
・お父さんとお母さんが褒めてくれるのはどんなときですか。
・お父さん、お母さんの名前を教えてください。
<父親に向けて>
・志望理由を教えて下さい。
・見学に来た際に感じたことはなんですか。
・仕事について。
・成城学園との関係について。
・校長先生に聞きたい事。
・子どもの長所。
<母親に向けて>
・どのような人になってほしいですか。
・しつけで気をつけていることを教えて下さい。
・仕事について。
・子どもの長所。
お子さんに対しては名前や生年月日以外にも、日常生活に関する質問がされます。父親に対しては志望理由や仕事の内容、教育方針などが問われ、母親に対しては、お子さんへのしつけなどについて質問されます。
お子さんには質問例を参考に、実際の面接を模した練習をしておくと安心でしょう。
また、保護者間で教育方針や子育てに対する意見は共有しておいて、回答がズレないようにしておきましょう。
考査
お子さんが1人で受験します。文字等を書く筆記試験は行われず、試験官による口頭試問の形で行われます。
<記憶>
視覚・聴覚・触覚等を使って、絵やお話、映像のなかに出てきたものを記憶します。
また、名称をしっかり認識する能力を養いましょう。
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・絵の中にあった野菜を記憶して言う
<数量>
数量を比較したり、重さなどの概念を理解できているか評価されます。
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・おはじきの数を比べる
・シーソーで1番重いものを答える
・赤、白、緑の◯があり、それぞれを1本の串に刺すと何本のお団子ができるかを答える
・水の量が違うコップにお砂糖を入れたとき、1番甘いコップはどれか答える
・◯◯円を出しましょうなどのお金の問題
数量の問題では、数の増減や数の対応など、さまざまな問題が出題されます。素早く数える力、スムーズに数を操作する力をつけておく必要があります。
<図形>
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・パターンブロックで六角形を作る
・折り紙を切って広げて形を選ぶ
近年では、練習しただけでは解決できない思考力を要する問題も出題されているため、日常生活の中で自分で考える力や物を見る能力を養うことが重要になってきます。
<積み木>
過去の入試では、下のような問題が出題されました。
・木の箱の中に積み木をしまい込む
・積み木をできるだけ高く積む
・目を瞑り、手を積み木のたくさん入っている箱に入れ、取り出す前に形を言う
<常識>
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・点字ブロックと誘導ブロックは何のためにあるかを答える
・生き物の赤ちゃんを答える
常識問題は大きく分けて3つに分類することができます。
1 理科的常識
2 社会的常識
3 生活常識
理科的常識については、動物園や植物園に足を運ぶなど、お子さんの五感を刺激する学習が必要です。一方で交通ルールなどといった社会的常識は、日常生活の中で保護者が意識して教えるだけで対策できるものです。生活常識については、お子さんに対して少しずつ日常生活の中で教えてあげると良いでしょう。
<巧緻性>
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・箸で箱の中に入っているスーパーボールを色分けする
・傘を畳む
・紐の真ん中と両橋をコマ結びする
・縄跳びを結ぶ
巧緻性の対策としては、日頃からいろいろな道具に触れておくことが大切です。
はさみやのりも一つのものを使うのではなく、さまざまな大きさの物を使い、本番でどのようなものが配られても問題なくできるようにしておきましょう。
<言語>
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・逆唱、復唱
・一人でしりとり
・絵を自分の言葉で説明する
<絵画>
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・1枚目は好きな絵を描き、2枚目は海の絵を描く
行動観察
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・自由遊び(積み木、ぬいぐるみ、絵本)
・キャップ積み競争
・ボール運び競争
行動観察では、ルールや順番を守れるか、指示を正しく聞けるか、なども評価のポイントです。
普段の生活の中で、基本的な社会性は身につけておきましょう。
運動
過去の入試では以下のような問題が出題されました。
・ボールを使って平均台を歩き、指示されたところからボールを投げる
運動テストでは、体力や粘り強く取り組む姿勢が必要です。ここでも、ただ運動の能力だけでなく、指示をきちんと聞けるかも見られています。話を聞く姿勢にも意識を向けるようにしましょう。
まとめ
成城学園初等学校は東京都世田谷区にある、幼稚園から大学までの一貫教育を行う伝統ある学校です。
ほとんどの生徒が小学校卒業後は内部進学で系列の中学・高校に進学していきます。
入試問題についても、頻出分野がわかりやすく、対策がしやすいといえるでしょう。
自然との触れ合いを大切にする学校です。家庭学習だけでなく、外での活動も積極的に取り入れることが受験対策には有効でしょう。
家庭内の対策に不安がある方は、合格実績のある私立小学校専門塾などで対策していきましょう。
苦手に合わせて一単元から対策できますので、ぜひご家庭での対策にご利用ください。