TAMの先生方は大変温かく、授業は興味を引き出し、考えさせてくれる楽しいものでした。Yは、往復約三時間の道程を苦にもせず、年少の夏から、毎回ニコニコして教室へ向かいました。
しかし授業中は、
「Yくん、足! お行儀!」
と、よく注意を受けました。また、難しい問題が増えるにつれ、やってみたい、おもしろい、と言う半面、解けなければその度に腹を立てます。テスト中であっても、
「悔しいから、もうやりたくない!」
と、投げ出すことが目立つようになりました。先生はそんなYを受け止め、
「信じているよ。」
といつも励ましてくださいました。
年長の十二月、志望校を決める時期に入りました。本人の志望校は、洛南高等学校附属小学校でした。
「僕はわからないことが多いから、洛南小学校で勉強したい。いろんなことがわかるようになりたい。」
と言って譲りませんでした。受験に向かうためには、できない悔しさを、投げ出さずにがんばろうという気持ちへ繋げることが最大の課題でした。
目標が定まってからは、先生の励ましのおかげもあって、受験に対する自覚が出てきました。「僕はこのままではアカンな」と自分から毎日机に向い、苦手な分野でもやってみようとする姿勢が見られるようになりました。
しかし、本番まで半年を切った講習会で、苦手な問題を間違えてチェックがついたことに文句を言い続け、Ⅰ先生にとても厳しく叱られました。
「勉強って何なの? マルされるためだけに君は来ているの? みんな苦しくても一生懸命やってるよね。」
と。Yが本当に目覚めたのは、この時でした。
「間違ったらすごく悔しい。でも、ちゃんとわかりたい。僕は賢くなりたいから、みんなと一緒にがんばる。」
と言い、懸命に取り組むようになりました。どんどん問題を解き、直前期には、できなかった部分は何がいけなくて、どうすればできるようになるのかを、自分で考えるようになりました。同時に、お行儀も良くなりました。
家では、Yの話をじっくり聞くこと、思いを受け止めて、一緒に考えることを心がけました。また、詰め込みの勉強にならないように、実物に触れたり、毎日のお手伝いを通して考えたりと楽しくする工夫をしました。休暇には海や山で思いきり遊ぶなど、なるべく普段と変わらない環境づくりに努めました。
本気になるのが遅かった受験勉強でしたが、できることは全てやりきって、本番を迎えることができました。
当日は緊張気味でしたが、Ⅰ先生にいただいたお手紙を読み返し、安心した様子でした。そしてO先生に、
「難しい問題が出ても大丈夫やで。深呼吸してな。」
と肩を抱えられると、
「わかってるって。」
と笑顔がこぼれました。大好きな先生方の温かな応援を受け、自信を持って試験に向かうことができました。
「難しかったけど、がんばったで。」
と出てきたYを、諦めずに最後までよくやり抜いたと、主人と思いっきり誉めました。
願書作成や保護者作文は、子育てや親としての自分を見つめ直すよい機会となり、ありがたく感じました。受験は悩むことも多くありましたが、子どもと一緒に乗り越えた楽しい時間でもありました。
いっぱい泣いて、いっぱい笑ってYはTAMで大きく成長しました。
知識やお行儀だけでなく、将来にわたって大切となる、諦めずに一生懸命努力する姿勢、みんなと勉強する楽しさを教えていただきました。
いつも変わらず私たちに寄り添い、心を込めてご指導くださった先生方に、大変感謝しております。
ありがとうございました。
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